工房で色々と靴について深く学んでいくことで、自分で靴を作れるようにはなりました、が、
ビジネスとして靴を取り扱うにあたり、自分たちの手で生産までを行うというのは、需要を満たす数量を期間内で作ること、また品質を安定させることの両方を考えると、創業当初から叶えるのはやはり困難を極めるなという意見でメンバー内で一致。
では、OEM生産をしてくれる場所を探すしかないのですが、どうすればいいのか・・。
出口のない迷路に入りかけた時、
メンバーの1人に、ファッション業界の重鎮の方とのコネクションがあったのは、我々にとっては幸運なことだったなと、今でも感謝をしております。
ファッション業界に精通しているわけではない、エンジニア出身のただの靴好き3人にとって、自らOEM製造いただける場所を探すというのは、宝探しに近い感覚。
そんな中我々の前に現れました、ファッション業界の重鎮。
早速アポイントを取り、まず私たちが何を行いたいかを説明すると、
重鎮の方曰く一言、
「0からやると言ってもなかなか難しい世界です。まずはその世界の人を味方にしたほうがいい、紹介してあげます」
なんともありがたきお言葉をいただくことに。
やはり人との縁が繋がっていって、少しずつ形になっていくものなのだなぁと実感。まだ創業間もないkutsulabですが、きっかけを与えてくださったその重鎮の方は、我々にとって間違いなく恩人の1人です。
後日、その重鎮にご紹介いただいた、日本でも有数の靴のオーナーデザイナーの方に、より詳しく我々の靴のコンセプトをお話しすることに。そのコンセプトの内容をざっくり言うと、
- パターンオーダーでこだわりの組み合わせができる靴を1足ずつ作りたい。
- 受注生産。
- 日本製が望ましい。
・・・。
今思うと、冷静に考えて、実績のない我々が、このような非効率なオーダーを提案したところで、受けてくれるところなんてあるわけないだろ、と思うのですが、
奇跡的にも、
「今の話を総合すると、日本でできる可能性のある場所はただ一つしかありません。宮城興業という会社です。ちょうど知り合いがいますので紹介させていただきます。」
とのこと。
何かに導かれるかのように、宮城興業様と出会うこととなるのでした。
その時にお会いした宮城興業さんのご担当者さまは、とてもお洒落で、紳士用品のこだわりを随所に感じることのできる方。さすがはそういう業界の方だなと思いながら、多少強面でもあり、少しビビりながら、そして緊張しながら、提案のプレゼン。
その時にプロトタイプとして作った、靴のパターンオーダーをWeb上で行うシステムもお見せしながら、事業提案をしたところ、
「新規事業となりますので、一から作っていかなければなりませんが、既存オーダー生産の流れに入れれば、できると思います。」
我々の理想の靴サービス実現のための道筋に、光が通った瞬間でした。
しかし、そこから、このサービスを実現するまでに、長ーいトンネルへと突入することになります。