自分で靴を作れるということ

自分で靴を作れるということ

何かを人に伝える時は、その中身を知る必要があります。

 

靴で事業を行うことを考えた時、

遠回りになるかもしれませんが、やはり自らの手でまず作れるようにならなければダメだと考えました。

もともと、表面だけで取り繕うのは得意ではありません。

知った気になって、体験せずに本当かどうかわからないことを形にしたものが、お客様に受け入れてもらえるようになる確率は、宝くじの確率に近いと思います。

 

千里の道もまず1歩からということで、

「まずは自分で靴を作れるようになろう!」

と決心。

 

 

しかしながらエンジニアの私たちにとって、靴作りは未知の領域。

まずどうやったら作れるようになるんだ?とググってみたところ、

いくつか製靴の専門学校を見つけました。

 

見つけたのですが、どの学校も場所が少し遠く、また全日制ということもあり、時間を捻出するのが難しい。

 

何か他に良い場所はないかと探していると、

個人経営の靴工房のHPに職人コースありという文字を発見。

 

これはいいかもと思い、話を聞きに行くと、

 

・実践的に全ての工程を教えてもらえる。(ゼロから作れるようになる)

・週1回の夕方からのコースがある。

・靴作りだけでなく、工具の作り方や材料の入手先など、先生が培ってきたノウハウを全て教える。

 

ということでした。

 

工房にあるプロダクトを拝見したり、先生の考え方を拝聴したりするなかで、

裏付けされた知識と経験の中できちんと靴作りに取り組んでいる工房で、

ここなら求めている技術やノウハウを身につけることができると思い、

通うことに決めました。

 

合計で2年ほど通うことになりました(残念ながら、この教室は閉じることになってしまいました)が、

製靴におけるノウハウ全てがそこに詰まっており、

結果的にこの選択は大正解だったなと考えております。

その2年間で、靴も木型の作成から、デザインの型紙化、様々な製法での靴の製作までを一貫してできるようにまでなり、ある程度は自在にデザインのアレンジまでできるようになりました。

 

もちろん通った経験のない、製靴学校との比較はできませんが、

実践として仕事で靴作りに取り組んでいらっしゃる先生に直接指導いただける機会と

そこでプロとして積み上げられたノウハウを惜しみなく全て教えていただけたカリキュラムの内容は、

私たちの現在のプロダクトの礎となっております。

 

 

また、そこでできた生徒の皆様との出会いも大切なものでした。

 

・既成の靴では足に合わない。

・左右の足の大きさが違う。

・外反母趾や冷えとり用靴下に合う靴を求めて

 

など、靴の悩みは多岐にわたり存在することがわかり、

また、生徒の皆様が作るバラエティに富んだ靴の数々は、

革靴といえば、黒と茶色という私たちの価値観を気持ちよく覆してくれるものでした。

 

靴にはパターンオーダーというサービスがあります。

素材や色を選んで靴を購入するという、あまり一般的にはなじみのない買い方ですが、

靴工房にてバラエティに富んだ革靴を見て魅力を感じていた私たちは、パターンオーダーにて、機能や好みで素材や色を選べるという、お客様にとってアクティブに考える範囲を増やすのは、購入経験として面白いのではと感じました。

靴はファッションとしても、サイズとしても、もっとパーソナライズされるべき製品であると感じており、

パターンの選択肢を設けることで、少しでもお客様のこだわりを満たすことができれば、お客様にとってより良い製品になり得るのではないか、

そう考え、kutsulabの最初の製品であるtieniコレクションは、パターンオーダー制で購入体験を作り上げています。

 

靴を作ることができる、靴の製作工程を知っていると、それに関係する人たちとのコミュニケーションが円滑になり、認めてくれるようになります。

事業を進めるためには、周りとの友好な関係の構築が不可欠です。 

我々の事業は靴がベースですが、事業として何をするとしても、アイデアベースだけで進めるのではなく、できる限り自ら経験し、できるようになることが、形にする上ですごく大事なことなんだと思っています。

 

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